職場づくりモデル事例
社会福祉法人山城福祉会リフレッシュ休暇の取得と週に一度の「ノー残業日」で残業が1/3に
平成4年設立、京都府宇治市を拠点とする山城福祉会。知的障がいのある方々が少しでも自立した生活が送れるよう就労継続支援B型や生活介護支援を中心に、共同生活援助、短期入所、日中一時支援、居宅介護や相談支援事業など、さまざまな障害福祉支援事業を行なっています。
年休の取得を法人が推奨 消化率がアップ!
同法人では、働く職員みんなのワークライフバランスを考えた子育て支援に取り組んでいます。その一つがリフレッシュ休暇の取得です。勤続年数3年、5年、10年を迎えた職員は連続5日間の休暇をすることができます。
同法人の尾花さんは「福祉の現場は、忙しいことも多く、この制度導入までは、年休の消化率が悪かったのです。『先輩が休んでいないのに休暇を取りづらい』という声を聞き、ならば、全員が強制的に休みを取得しようということになりました。現在、対象者のほぼ100%がこの制度を利用しています。」
確実に取得できる休暇のため、計画的に休みのプランを立てられるということで、利用した職員からは非常に好評のようです。
さらに、休暇制度の浸透とともに、通常の年休も取りやすい状況に。「リフレッシュ休暇制度を設けたことで、休むことが申し訳ないという、雰囲気がなくなりつつあるように感じます」
残業は当たり前じゃない ノー残業で全員が定時退社を
また、若い職員を多く抱える同法人では、現代の働き方にあわせて、できる限り残業をしない環境づくりにも取り組んでいます。
「昔は、社会全体として、残業をするのが当たり前といった雰囲気がありましたが、今は違います。とはいえ、先輩や上席の者が遅くまで仕事をしていると、若い職員たちは帰りづらいものです。そのため、週に一度のノー残業を設け、強制的に全員が定時で帰宅するようにしました」と尾花さん。
職員さんたちからは「帰りやすくなった」との声が多く寄せられているそうで、「子育て世代の方からは、5時で帰ることができると助かると言ってもらっています。」
その成果は大きく、全体の残業時間は以前の3割程度に抑えられているそう。強制的に早く帰る日を作ったことで、それ以外の日も“帰れる人は帰ってもいい”、そんな職場の空気が醸成されているようです。
不満の声も聞かれるが…… 時代に合わせた働き方へ
一方で、この働き方改革には、「仕事が終わらないのに、どうして帰らせるのか」「昔はみんなで遅くまでやっていた」など、不満の声も聞かれるとか。そんなときは尾花さんらが丁寧に声掛けをして、協力をお願いするのだそう。
「現状を伝え、今はそうじゃないんですと、お話をすると納得してくださいます。福祉の現場も人手不足です。若い職員たちが育児や仕事の大変さを理由に離職しなくてもよい環境を作ることが大切です。世代ごとに考え方が違うのは当然。みなさんに理解してもらいながら、ワークライフバランスを推奨していきたいです」と、改革を進める理由を話します。
また、「支援は、どこでサービスを受けても同じではなく、各法人ごとに受け継いできた独自の技術があります。私たちも自分達が考える良い支援の技術や知見を継承していきたいと考えています。だから、職員の皆さんには、ずっとここで働いて、技術を繋いでいってほしいのです」とも。現在、女性管理職が3名で、うちお一人は小学生の子どもを育てるお母さん。みなさんとても頼れる方々だそうで、法人にとってなくてはならない存在です。
「私たちは、京都府のワークライフバランス企業の認証も取得しました。当法人の理事長はいつも『人材は宝』と言います。働きやすい環境を作ることは社会貢献の一部だと考えます。10年20年と続けてもらえるよう、さらなる働きやすさを追求して、職員の満足度を上げていければ。そして不満ゼロになる法人を目指していきたいと思います。」
これまで離職率が高いと言われてきた介護の職場をアップデートし、プライベートも充実できる環境づくりに取り組む同法人。子育て中だからと仕事を諦めることなく、誰もが働きやすい場所への挑戦は、まだまだ続きます。
企業情報
企業名 | 社会福祉法人山城福祉会 |
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所在地 | 京都府宇治市槇島町石橋13-6 |
業種 | 医療・福祉(医療、福祉) |
従業員数 | 96人(正規職員46人、常勤嘱託職員15人、非常勤嘱託職員35人) |
企業紹介 | 主に、知的障害者の ■生活介護支援 ■就労支援 ■居宅介護 ■相談支援 ■日中一時支援事業及びグループホーム・ショートステイ の運営を行っています。 一人でも多くの利用者が自立し心豊かに暮らせるよう、職員一同懸命に支援を続けています。 |